2019/01/11大坂國〜明日への審判〜 第一話
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《2019年12月20日 深夜》
キィィーーーッ!
乾いた金属質のブレーキ音が、静寂を切り裂いた。
「さぁさぁ、着きましたよ!起きて下さい。」
遠くのほうから声が聞こえる。
「ん…。此処...は?」
いつの間にか眠っていたようだ。
「あなたが望んだ場所ですよ。」
ニヤリと唇を歪ませながら、男が顔を覗き込んできた。
「そういえば、あの地下から電車に…。」
眠気を振り払いながら、ふらふらと立ち上がった。
濃密な暗闇、カビ臭い匂い、纏わりつく湿度。
目、鼻、耳…
あらゆる感覚から伝わる異様な空気。
「二度と戻れない」そう本能が警告しているようだ。
「さぁ、こちらへ。」
コツ…コツ…
ホームに響く、尖った男の靴音。
足が重い。
前に進まない…。
ヒュゥゥゥー
そんな気持ちを見透かすように、冷たい風が背中を押してくる。
コツ…コツ…コツ…
リズムの乱れない男の足音に「すべての疑問は受け付けない__」という圧力を感じる。
不安と恐怖がジワジワと身体を侵食していく。
どれぐらい歩いただろう?
「ん⁈」
前方にぼんやりと小さな明かりが見えた。
それに引き寄せられるよう、自然と早足になる。
「さぁ、着きましたよ。」
男が重厚な扉を開けた。
ギィィー
「うっ!!!眩しい…」
強烈な光が目に突き刺さる。
「な、なんだ?何なんだ、此処は!!!
こ、これが…大…坂…國?!」
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